治験とは?
みなさんは「治験」と聞くと、どんなふうに感じますか?
最新の治療が受けられるという期待の反面、不安もあると思います。また「高額バイト」といった、実態とは異なったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、「治験」について、知っていただきたいポイントをまとめました。
治験とは?
ひとつのくすりが誕生するには、長い研究開発期間を必要とします。まず、培養細胞や動物でさまざまなテストを繰り返し、有効性(効き目)の確認と安全性(副作用)の評価を行います。そして、最後の段階で人を対象に行う試験が「臨床試験」です。臨床試験のうち、国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために行う試験のことを「治験」といいます。
新しいくすりの安全性と有効性の最終チェック、それが「治験」です。
治験はアルバイト?
ー答えはNO! 治験は報酬や対価ではなく、ボランティアの方の負担を軽減するために支払われる「謝礼」です。
治験に参加していただくとボランティアの方には通院のための交通費がかかりますので、そのご負担を軽減する目的で「負担軽減費」として通常、1来院あたり¥7,000~¥10,000ほどが支払われます。
これはあくまでも治験協力費として、ボランティアの方に支払われる謝礼であり、報酬ではありません。
治験の参加は自由意志です(インフォームド・コンセント)
治験に参加するかしないかは強制ではなく、自分の意思で決められます。
医師が患者さんに治験の目的や方法、治験に参加しない場合の治療法、「くすりの候補」を使った場合の予想される効果や副作用の可能性などが書かれた「説明文書」を手渡し、その内容を詳しく説明します。患者さんは、それに対しわからないこと、確認したいことなど、納得するまでどんなことでも質問することができます。
説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰って家族に相談してから決めることもできます。もちろん、説明を受けたあとに治験に参加しないことを決めても、全く問題はありません。
十分にご理解のうえ、参加することに同意いただけたら、「同意文書」に患者さんと治験を担当する医師が自筆で署名します。同意文書の控えと説明文書は患者さんにお渡しします。この「説明と同意」のことを、インフォームド・コンセントといいます。
治験の安全性や参加者の人権を守る「治験審査委員会」とは?
「治験の計画」が、治験に参加する方の人権や安全の保護および科学的に適切であるかを審査する独立の委員会を「治験審査委員会」と呼びます。
治験の依頼を受けた病院が治験を開始するためには、この治験審査委員会の承認と院長の了承を得る必要があります。治験に参加される方の人権と安全性を保護する見地から、治験審査委員会には、治験の依頼を受けた病院とは利害関係のない人や医学、薬学などの専門家以外の人も委員として加わっています。
また、同委員会は、治験がルールに沿って行われているかどうか、「くすりの候補」に関して新たな副作用の情報があった場合には、治験を継続してよいかについても審査します。
(参考:日本製薬工業協会ウェブサイト)
治験コーディネーター(CRC)の役割
治験コーディネータ―(CRC〈シー・アール・シー〉:Clinical Research Coordinator)は、治験の進行をサポートするスタッフです。CRCの多くが、看護師や薬剤師、臨床検査技師などのバッググラウンドを持った、その分野の専門家です。
治験に参加される患者さんの相談窓口として、通院(または入院)スケジュールの調整、服薬状況の確認を行います。薬剤部や検査部、治験担当医師など治験(臨床試験)に携わるチーム内の調整もします。治験に参加された際に、分からないことや不安に思うことがあれば、どんな些細なことでも結構ですので、遠慮なくCRCにお尋ねください。CRCは、治験に参加されるボランティアの方の、一番身近な存在として、サポートしていきます。